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2010年10月27日水曜日

黄色い雨  フリオ・リャマサーレス




商品説明より引用-
この小説を読むことで、あなたの世界は全てが変わってしまうだろう 
沈黙と記憶に蝕まれて、すべてが朽ちゆく村で、亡霊とともに日々を過ごす男。「悲しみ」や「喪失」といった言葉はこの小説には必要ない。悲しみや喪失は、ここには空気のように偏在しているから。なのに、なぜ、すべてがこんなにも美しいのだろう?  柴田元幸
スペインから彗星のごとく出現し、世界に<冷たい熱狂>を巻き起こしつつある、この奇蹟の小説を体験せよ!




Amazonのレビュー評価が高かったので購入。
しばらくホッタラカシでしたが、読みました。


しかし改めて商品説明見たけど、
「この奇跡の小説を体験せよ!」って・・・


内容は
過疎の村でおじいちゃんが一人暮らししてます
ホントに一人です
いやぁ、さみしいわ
ってトコでしょうか。


しばらくホッタラカシだったのは本書冒頭の


彼らがソブレプエルトの峠につくころには、たぶん日が暮れ始めているだろう。
黒い影が波のように押し寄せて山々を覆っていくと、
血のように赤くにごって崩れかけた太陽がハリエニシダや廃屋と瓦礫の山に力なくしがみつくだろう。・・・


としばらく「~だろう。」が続くのでとっつきにくかったから。
ああ、こりゃしっぱいしたなぁ・・・と思ってました。


頑張ってちょっと読み進めてみると
コレが面白い。面白いっつうか、なんというか。




過疎で一人ぼっちでも暮らし続けるおじいちゃんは
さぞ頑固なんだろうと思わせておいて、そうでもない。
普通だ。
むしろ冷静に自分のおかれている状況を理解しつつ
丁寧に説明している。
それでもやっぱり一人だ。
その責任?が自分にあることは完全に理解しているし
微妙に反省しているようなところもある。
ただしメロドラマ的な要素は一切無い。
でももういろいろと遅すぎるし、今更何かを変えようという気も無い。
じゃあ、もう死んでしまえばいいと思うが
死はこわいと拒否し続ける。
だからといって生に執着してる風もやっぱり無い。
もうナイナイづくしだ。
こんなんですが腹の立つ話ではないし、極めて簡素な文章で、美しい。
でも暗い。
心に残ることは結構あるけど、なんと言って説明したらよいものか。




というわけで、こりゃあ小説じゃなくって詩だな、と。
短いし。
詩を読むことは全く無いので、コレが詩として優れているのか普通なのかを
判定することはできません。
が、良書であるとは思いますし、この作者の違う本も読んでみたくなる作品でした。


こんな感じで一人ぼっちで死んでゆくのだろうと
考えることがたまにありますが、
まあそれでもいいか、と思いました。