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2010年11月29日月曜日

白の闇 -ジョゼ・サラマーゴ




商品紹介より引用-
それは、ある日突然始まった。ある男性が、視界が真っ白になる原因不明の病にかかったのだ。「白い病」はつぎつぎと国じゅうの人に感染していった。「なにも見えない」「だれにも見られていない」ことが、人間の本性をむき出しにし、秩序は崩壊する。世界は瞬く間に生き地獄と化していった。しかし、ただひとり目の見える女性がいたことで意外な展開を迎える…。ノーベル賞作家の世界に衝撃を与えた哲学的寓話。


著者はポルトガルの国民的作家でポルトガル語圏初のノーベル文学賞受賞者の
ジョゼ・サラマーゴです。
2010年6月18日没。
今年ですか。合掌。


内容は引用の通り、ある日突然目の前が真っ白になってしまう疫病?が
発生したけど、たった一人目が見えなくならなかった女の人が見る
目が見えなくなった人たちが作るヒドイ世界を描きました、といったところです。


まず、私は目が見えなくなるのがすごく怖いので
ちょっと嫌な話しだなぁ、と。
目が見えなかったらこの世の楽しみの9割以上奪われてしまうんじゃないかと
思ってるんですね、私。
何をするにせよ、しないにせよ、見えなかったら
もうどうしようもないじゃないッスか。
何から手をつけたらよいのやら・・・
っていう状態ですよ、ずっと、多分。


映画「羊たちの沈黙」でもレクター博士言ってたもの。


レクター 「彼はなぜ欲望したのだ?」
クラリス 「それは女性への変身願望がナンタラカンタラ・・・」
レクター 「チガーウ、本質を考えろ。」
クラリス 「彼の中にあるナンタラカンタラ・・・がそう仕向けたのではないかしら?」
レクター チガーウ、カレハ ”見た” ノダ」
      (なぜかカタコトだったあやふやな記憶が。)


そう、見るっていうのはいろいろなコトの本質なのだよ。
それが無くなったら、もうどうしようもないッスね。


と、前置きが長くなりましたが、
見えなくなったので人間の本質が現れます。
本性丸出しです。


そこらじゅうにウンコやらオシッコ飛び散ってるし、
食い物には意地汚い、っていうかいろいろあって飢えてるのでもう何でも来いだし、
硬軟織り交ぜてエッチ大好きだし・・・
まあ、ヒドいもんですよ、人間って奴は。




たださすがにノーベル賞作家、そこはきちんと文学っぽくしてます。
・登場人物・場所等の名前が一切出てこない。
 この物語の普遍性を高めています。
・話し言葉にカギカッコが無い。
 誰かが他の誰かから聞いてきたみたいな感じを出してます。
・結末がアッサリ。
 余韻を長いこと引きずるのでいろいろと検証したくなります。




まぁいろいろあるけど面白い。
昔見た映画で『ドッグ・ヴィル』に雰囲気が似てるような。
「お前ら、クソ人間よ。思い上がるな」
みたいな。


久々に徹夜して本読みました。
若いな、オレ。







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